関東も梅雨入りのようなお天気が続く今日この頃です。春の紀伊半島滝めぐりがもう既に懐かしくなってきてしまっていますが!続きのレポートを書いていきますね。今回は、ちょっと番外編かな。「滝と芸術」カテゴリになります。

どうしても会いたかった滝(の絵)を目指して、久しぶりの高野山へ向かいました!

前回まではこちら
大杉谷の仙人ツアー【前編:穴場の定入滝&新緑の六十尋滝】
大杉谷の仙人ツアー【後編:サイクリングで秘密の滝へ!】
滝頭不動滝・三重県【奥伊勢フォレストピア 滝&登山ツアー】
アナギの滝・三重県【尾鷲の名瀑!対照的な陰陽の滝】
デンガラ滝・三重県【一枚岩を滑り落ちる美女滝】
観音滝・三重県【熊野市 迫力の巨岩に流れる信仰の滝】
笹の滝・奈良県【十津川村の日本の滝百選!念願の訪問】
十二滝/清納の滝・奈良県【十津川村のお手軽滝&空中の村】
牛鬼の滝・和歌山県【大雲取越〜田長谷林道の滝めぐり】
黒蔵の滝(虚空蔵の滝)・和歌山県【有田川町生石 信仰の滝】
次の滝・和歌山県【遠望も裏見も!みかん畑の先に名瀑あり】

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高野山は8年ほど前に一度訪れたきり。うわ、ずいぶん昔ですね。このブログを始める前です。

当時は団体ツアーだったこともあって、じっくり見て回るというよりはまずは体験、という感じでした。その後、空海の本をたくさん読んだり、東京で行われた高野山のイベントに参加したり、東京の高野山別院に写経にも行ったりして…。自分なりに高野山との縁をつないできていたように思います。

でも、現地には、なかなか行けていなかったんです。今回も旅程的に無理やり詰め込んだ感じで1泊だけ。高野山の空気をじっくり味わうなら本当はもっと長く滞在したいところでしたが…弾丸でも訪ねておきたかったのには、大きな理由がありました。

それは、金剛峯寺に奉納された千住博さんの襖絵を見ること!

滝をメインのモチーフにしてこられている日本画家の千住博さん。滝ガールとしてはずっと憧れの存在です。軽井沢の千住博美術館にはたびたび訪れているし、実はライターの仕事で二度もインタビューさせていただいたこともありまして(滝ガールとしてではないですよ)、勝手に心の師と慕わせていただいています。

千住さんは高野山開創1200年を記念して金剛峯寺から襖絵を依頼され、そして昨年10月、ついに「断崖図」「瀧図」が現地に奉納されました。完成した絵自体は、2年前に横浜のそごう美術館で展示されていたときに見に行っていたのですが、それが襖絵となったらどのような空間を作り出しているのか、実際にその場で体感したかったのです。

(2年前の記事です 高野山金剛峯寺襖絵完成記念 千住博展【空海と奇跡コラボ】

今年の1月にはNHKの番組で制作の背景を追いかけるドキュメンタリーもやっていました。

途中の、表具師さんが襖にしていた様子に圧倒されました。あの絵を切らなければ襖に貼れませんからね…見ていても緊張感がこちらに伝わってくるようでした。

千住さん、滝についての思いもあらためて言葉にされていました。

千住さん…(涙)

そんなわけで、昨年からずっと、ウズウズしていたんです。

さて、前段が長くなりましたが、行ってきましたよ!というご報告です。

インバウンドで賑わいを見せていたはずの場所が、今はこんなに静か…

ちなみにこの記事のメインではありませんが、高野山付近にも滝はいくつかあるようで、こちらも立ち寄ってきました。高野大滝です!

高野龍神スカイラインの展望台から眺めることができます。遠望でも立派な滝だということがわかりますが、説明書を読んでみると古くから信仰の地でもあったようですね。

(今回は紹介があっさりめでごめんなさい、大滝さん!)

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さて、千住さんの襖絵が奉納されているのが金剛峯寺です!

https://www.koyasan.or.jp/

お寺入り口に掲げてあったこちらの言葉、さっそく胸に響きました。「祈り」の意味がこの年になってわかってきた感じなんです。

こちらは日本最大級の石庭といわれる、蟠龍庭(ばんりゅうてい)。

各部屋では歴史的な有名絵師による襖絵を次々見ることができるのですが(撮影は禁止)、この歴史の中に千住さんも並ぶんだもんなあ…と思うと、なんだかドラマティックで。ドキドキしながら歩いていきます。

そして拝観順序のラストに来たのが!「茶の間」&「囲炉裏の間」です!

(なんとここは個人でも撮影していいんですね!高野山の懐の深さを感じます)

まずは茶の間に納められた、断崖図

この風格…つい数ヶ月前に奉納されたとは全く思えない。この崖の表現に感動したことは以前の記事にも書いたのですが、千住さんの新境地ですね。

そのすぐ隣に続くのが、囲炉裏の間です!ここに瀧図が!

こちら!

わたしここにきて、ポロポロと泣いてしまった…!

というのもあまりにも、自然に、その空間に馴染んでいたから。この日は別に何かご祈祷をしていたとかではないけれど、僧侶の方が何か日常のお仕事をされていて。その姿にジーンときてしまったのです。

もともと「茶の間」も「囲炉裏の間」も、展示用の部屋というよりは、僧侶のみなさまが普段から使われている場所だそうです。ずっと白襖のまま残されていたということは、それだけここにふさわしい絵というのが難しいということで。千住さんもこの場所の襖を手掛けるにあたって、空海の祈りの深い意味、そして空海の教えを守り続ける彼らの祈りの気持ちにフォーカスし続けていたんだと思います。

その時を超えた想いの連鎖が、見事にこの空間に顕されていました。そしたら自然に涙が…。

滝は、その流れで重力の存在を示し地球での時を表すと同時に、時を超えるものの象徴でもあると思います。滝は人間の歴史を軽々と超えて、何千年もの時を落ち続けている。

高野山のこの「滝」も、これから未来、落ち続けていくわけですね。そこには、神聖な祈りを未来につなごうとした空海の願いが、はっきりと映し出されているようでした。

千住さんは、この滝の真ん中の ↓ 空間に強く思い入れを持たれていました。「あの奥にお大師様がいらっしゃる気がする」と。確かに、見守ってくださっている感じがしますね。

先に紹介したドキュメンタリー番組では、最後、襖絵を前に千住さんがおっしゃっていました。「この瀧がとても暖かくて慈しみに満ちている」「私が描いた瀧の中で一番暖かい瀧」と。

ああ、そうなんだなあ。大きな大きな、スケールの大きな愛を感じました。

わたしもいつも滝を見ながら、その都度いろんな感情が湧いてきます。滝は言葉をかけてくれるわけではありませんが、でもとても大切なことを伝えてくれている。不思議ですね。こうしてわたしもブログで感動を綴ってきてはいるものの、本当の感覚は言葉にできる気がしていませんが…

滝ガールは、究極的には地球から愛を受け取っているんですよね。

なんだか最近…その大きな愛の存在を、いろいろな場面で感じ取れるようになっていることに気づきます。ああ、そういうことだったのか、と。滝がいつも、わたしに教えてくれていたからだなと思うのです。ちゃんと滝が導いてくれていました。

空海の教えと、千住さんの暖かい瀧図と、そして自分自身の涙とが、静かにリンクした時でした。

その感動を胸に抱いたまま、奥の院を歩いてきました。

まあ、その感動もまた言葉にできずにもどかしいんですけれど…でも、本当にきて良かったです。

高野山はやっぱり実際に空気に触れると違いますね。近いうち、またゆっくりと訪ねたいと思います。

次からまた、紀伊半島の旅の滝めぐり編に戻ります!

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