憧れの方に会えて、感動でした!

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先週土曜日、滝について数々の本を出版されている、永瀬嘉平さんのお話を聞いてきました。以前の記事でも書いたのですが、永瀬さんはもう50年近く前から、全国の滝を追いかけてこられている、滝界の先駆者の方です。現在、73歳。わたしも何冊も著作を愛読してきたファンのひとりです。長年、滝にどっぷり向き合われた方の境地とは、いったいどんなものなのか? 一度、お会いしてお話を聞いてみたかった方なのです。

今回は滝好きの方々が主催してくださった講演会。講演時間は実に3時間以上。滝をテーマにして、こんなに長く深いお話を聞いたことはいまだかつて、ありませんでしたが…

面白かったなぁ!

当時の命がけの滝めぐりの様子や、日本の滝百選の選考の裏話など、刺激的なお話がたっぷりありましたが、なかでも、わたしの最近の興味は、もっぱら「滝と日本人の精神性」でして(やっぱり根が文科系なもので)… そのあたりのお話についても、先人から生の声を聞けたことは、とても貴重でした。

歴史的には滝はどう扱われていたか、近代の文化人はどう見ていたのか?
永瀬さんは著名な文化人の方々とも交流があったそうで、そのあたりもよくご存じなのですね。取り憑かれたように滝の絵ばっかり描いていた芸術家の横尾忠則さん、故人ですが音楽家の團伊玖磨さん、山に関する著作で有名な詩人の串田孫一さん、そして、白洲正子さん! 彼らの「滝観」についても、少し教えていただきました。絵、音楽、文学。それぞれの角度から、滝という存在があるんですよね。

ひとつ、ずっと印象的だった言葉がありました。
「滝をやる」
お話の冒頭から、永瀬さんは「滝をやる」という表現を使われていたんです。永瀬さんは写真も撮影されるけれど、「滝を撮影する」んじゃなく、「滝する=Doing Taki」というような、動詞的に使われていました。

普通には、意味が通じにくい言葉だろうと思うんです。
でも、わたしにはしっくり来ます。

山にひとり分け入り、滝に向き合い、自然に、そして、自己に向き合うこと。
それが「滝をやる」ということなんだと思います。

まさに日本の武道や芸道といった「道」の精神に近いかんじ。いわば「滝道」です。永瀬さんは、知らず知らずに、その「滝道」に誘われ、極めた方なんじゃないかと思いました。

わたしのゆるい滝ガール活動と一緒にしてしまっては、怒られてしまうかもしれませんが… わたしも、そういう意味では、わたしなりに「滝をやっている」んです。

滝を眺めて、写真を撮るだけじゃなく… ひとつひとつの滝から、さまざまなモノを受け取り、学ばせてもらっているんです。

どこどこの滝は素晴らしい、という話を超えて、精神論から、環境問題、今後の課題まで。これだけ濃い滝トークにとっぷり浸かれたのは、大変貴重な体験でした!

わたしが持っている永瀬さんの本のなかでも、希少で価値高騰中の写真集『瀧』に、サインも、いただいちゃいました!

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滝って、本当に奥が深いなぁ…。あらためて、永瀬さんの写真集を見返して、その凄みを感じております。