豪雨に恵まれた(?)鹿児島滝めぐり、続きです。

龍門滝/桐原の滝・鹿児島県【流しそうめんはおあずけ】
曽木の滝・鹿児島県【秀吉もびくびく?なナイヤガラ】

秀吉も驚いたといわれる曽木の滝に続いて、こちらも歴史上の有名人、坂本龍馬さんゆかりの滝へまいります。
龍馬の新婚旅行の地として有名な霧島。この地域には名瀑が本当にいっぱいあるんですよ〜!

●犬飼滝・いぬかいのたき●
鹿児島県霧島市牧園町。霧島山を源流とする中津川の中流部に落ちる。落差36m、滝幅22m。駐車場から滝下の展望台まで300m。
来訪日:2014/6/23

道路脇の展望台には、龍馬&お龍さんのパネル。

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道路脇の駐車場から、この階段で滝の近くまで降りて行きます。

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ここでまた「いつもの滝と比べてみよう」のコーナー。通常バージョンがこちら。

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崖部分のダイナミックな柱状節理の造形にも映える、力強くシンプルな直瀑(落ち口から滝壺までぶつからずに落下するタイプ)です。

それが、今回は何しろ、滝ガールのための増量キャンペーン中ですので…
さらに、なんと、3本に!!

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うわ〜ぁ、お得〜!!(テレビショッピング風に)

できれば滝壺にもっと近寄りたいところなのですが、今回は装備不足にて断念。展望台から眺めます。

寺田屋事件で負傷した龍馬は、しばらくの間、ここ霧島で療養も兼ねて、お嫁さんのお龍と過ごしています。これが日本人の最初の新婚旅行と言われているわけですが、龍馬から姉の乙女に宛てた手紙にも、この滝のことが記されていました。

「陰見の滝(当時はそう呼ばれていたようです)其の布は十間も落ちて、中程には少しでもさわりなし、実、この世の外かと思われ候ほどのめずらしき所なり。此処に十日も止まりあそび、谷川の流にて魚をつり、短筒をもちて鳥をうちなど、まことにおもしろかりし」

療養のための滞在とのことですが、滝の癒やし効果も、きっとあったのかもしれませんね!
直瀑っぷりが大変潔い滝でしたが、そのまっすぐな姿勢は、龍馬の雰囲気にも近いような。

最近では、大河ドラマ「篤姫」のロケ地にもつかわれていたそうです。戦国時代や幕末の激動の時代のストーリーはけっこう好きで(実は歴女だったりも)、そういう話を聞くと、より滝が身近に感じられるのです。

さらに歴史を遡りますと、龍馬の時代より1000年以上も昔、皇位争いに巻き込まれてこの地に流された和気清麻呂という皇族がいて、この地の発展に大いに貢献したそうなのですが(近くには和気神社があります)、この清麻呂の話は、後世にも語り継がれていたようで、かつての有名歌人もこのように残しています。

与謝野晶子の夫、与謝野鉄幹が、こう歌いました。

罪なくて 遠流に還へる 清麻呂も 霧島にいて 聴きし滝音

滝は、こうして、歴史をつなぐ役割を持っているんです。

よくよく考えれば、大河ドラマで、セットなしで当時の風景としてそのまま使えるロケ地って、実はあんまりないんじゃないでしょうか。
もちろん水流による浸食、崩落とかで姿が変わることはあるけれど、滝の雰囲気、趣というものは基本的に龍馬の時代から、また和気公の時代から、大きくは変わらないものでしょう。彼らが「すごいなあ」と感動した滝に、今も感動できるというのは、嬉しいことです。立派な建物も芸術作品も、人間がつくったものは歳月と共に姿を変えてしまうものだけれど、自然は、いくつもの季節を繰り返しながらも、変わらずにそこにある。特に滝景色というのは、海や山と違って、ピンポイントです。この滝を同じように眺めたんだろうな、と想像させる力があります。

時を越えて、人間の歴史を見守ってくれていて、つないでいてくれている。
そんなところも滝の素敵な魅力のひとつだなぁ、と改めて思うのでした。