糸魚川の滝視察レポート【棚田と山腹用水路を観光地に!】

糸魚川の滝視察レポート【棚田と山腹用水路を観光地に!】

2019年の滝活動、滑り込みレポート!その2。

9月末に出かけた、新潟県の糸魚川の滝を紹介します。

実は、今年のはじめ、地元の方からメールをいただいていたんです。「地図にも載ってない秘密の滝があって、それを観光資源にできないか検討しているので、一度ぜひ見に来てください」と…!

ご連絡をくださったのは、地元の地域観光資源活性化研究会、渡辺さん。大学教授の引退後に地元に戻り、地域おこしに注力されています。その時にご実家近くで地元の人にもほとんど知られていない滝の存在を知ったそうです。

(去年末に、地元のテレビにも「幻の滝」として取り上げられたのだとか)

ええ!10本もあるの…?めっちゃ気になっていました。ということで、ちゃっかり富山の仕事の帰りに立ち寄って、ご案内いただきました!

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出かけたのは、糸魚川市の名所「月不見の池(つきみずのいけ)」の近く。

(月不見の池はこちら)

今回訪ねる滝群があるのが、月不見の池の地図にも載っていた、見滝、高谷根(コンタンネ)、谷根(タンネ)という集落です。このあたりは糸魚川ユネスコ世界ジオパーク「月不見の池ジオサイト17」のエリアです。でも滝としてはジオサイトにはなっていなくて、いわば「隠れジオサイト」なのだとか。

ジオサイトの説明にもありましたが、現場は巨大な地すべりによって生まれた緩やかな傾斜地。この地形を活用して、現在は棚田がたくさん!

今回は、この美しい棚田を横目に眺めながらの滝めぐりなんです。それだけでも素敵ですよね。いい季節に来ました!

滝について、渡辺さんからいただいた地図がこちらです。1、2、3の順番で滝をご案内いただきました!

一つ目の滝は「大滝」です。「谷根川の大滝」と呼ばれることが多いようです。

ちなみに大滝までの行程は、数分ですが、ちょっとだけハード。軍手とヘルメットをお借りして進みました。

導水管の上を歩いて、渡りますよ。

雪深いエリアなので、5月くらいまでは雪解け水が多くて危なくて来られないのだとか。

まだ観光用には整備されてませんが、渡辺さんがあらかじめ道を鎌で刈っておいてくださったので、進みやすいです。

この岩の向こうに出ると、展望スポット。そこから滝が見えるよ!とのこと。

さあ、見えました!あちらが大滝です!

落差は50m!この日は9月にしては水量が多かったようです。写真ではなかなか伝わらないかもしれないのですが、迫力ありますよ。

もっともっと近寄りたい!ところなのですが、実は滝の前に屏風岩があって。

近づくのは上級者向き、という感じです。今回は他の滝も見なくてはいけないので、時間もないのでここで引き返すことにしました。

最後に望遠で滝の様子をおさめて… 

ツーショットも撮ってもらって!

大滝は地図には記載があるものの、現場には特に案内がないため、自分だけではたどり着けなかっただろうなと思います。でも、道がわかってしまえば、駐車スペースからはすぐでしたよ。

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さて、次がいよいよ「幻の滝群」。滑落崖にいくつもの滝が並んで落ちているらしいのです。

そして渡辺さんによると、この幻の滝群の面白いところは「糸魚川の土地の文化に深く関わっている」というところなんだそうです。

わたしはここに来るまで全然知りませんでしたが、 糸魚川には「山腹用水路」と呼ばれる農業用の水路が多く見られます。安定的に用水の確保をするために、 沢の上流部から山の斜面を等高線に沿って作った水路のこと。江戸時代後期から作られ始めたのだとか。

で、このあたりもこの山腹用水路で「西側用水」と呼ばれる水路が通っています。120年前、明治時代に作られたものだそう。いわば、農業遺産です。美しい棚田も、この山腹用水路のおかげで成り立っているんですね!

先人たちから引き継がれた文化が息づいた風景なんだなと思うと、あらためてしみじみ…。

そんな歴史を知ったところで、滝を見に行きましょう。

地図にもあった、「三つ滝」です。こちらも駐車スペースからすぐ。

三つの滝が並んで落ちているので、三つ滝です!

こちらは真ん中の1本。いずれも直瀑ではなく、崖を滑り落ちてくるタイプなので、繊細なイメージがありますね。写真では伝わりませんが、やさしい音が響き渡って、清涼感たっぷりです。

滝の下にありましたよ、うわさの用水路!

そしてさらにもう一箇所。山腹用水路の整備用の道があるので、そのままそこに沿って歩いていけば滝見ができてしまうコースです。

まずは無名の可愛らしい小さな滝がお出迎え。滝の水がそのまま用水路に流れていっているのがわかりますよね。

こちらは「下猪滝」。水量は多くないですが、落差はけっこうあります。

こんな感じでとても歩きやすいですよ!

大きめの水路が見えてきました!

「中猪滝」です。

このあたりからは大滝が遠望もできるんです!

ロープをかけてくださっているところを登って行きますと…

上猪滝」です。

ちなみに「猪」という漢字がついているのは、猪が住んでいる山だからだと思います。途中の道が猪に掘り返されたあともしっかり残ってましたから!

そして、最後の一つがこちら!

「赤岩滝」です。

この滝は、確かに岩が赤いんです!鉄かな?

この赤岩滝は上流にいくつも滝が連なっているそうで、もっと時間があれば登っていくこともできるとのことでした!今回は時間切れでしたのでまた今度〜!

ということで、幻の滝ツアーはこれで終了です。渡辺さんとおしゃべりしながら、楽しい道中。地元への愛をひしひしと感じました!

渡辺さんがおっしゃるように、滝をめぐりながら、この美しい棚田とそれを長年守ってきた水と人々の歴史を紐解いて歩いていくのって、とても楽しいし、有意義だと思いました。立派な観光資源だと思います。

ハード面を整えるには橋をかけたり木を切ったりお金がかかることが多いので行政を巻き込まねばですが、最低限の安全面を確保すれば、ソフト面でできることもいろいろありそうですね。

その土地の文化をいかに滝から伝えられるかというところがポイントだと思ってて、独自の「ストーリー」「食」「映え」「体験」などのキーワードであれこれ一緒に考えました。棚田米のおにぎりや、沢の水で入れたコーヒーなんかを休憩でいただいて楽しいかもしれません。

実際に、お土産にご近所の農家さんから、この西側用水の棚田で作られた沢水米&秋ミョウガ&ワサビ味噌をいただきました!

棚田のお米は流通させるほどの量がなくて貴重なのに、譲ってくださってありがたい。本当に美味しかったです!

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糸魚川ではもう一箇所、有名な「今井不動滝」にも立ち寄りました。

滝の前は公園としてキレイに整備されているのでどなたでも簡単に訪れることができます!

落差70m、三段にスパーンと落ちてくるイケメン滝です。手前に糸滝という優しい流れの滝もあって。

こちらは陰ながら見守る妻ってかんじですかねぇ。カツラの巨木もあって雰囲気よかったなぁ。落葉の時期で甘い香りも漂っていました…。

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糸魚川って、今回のお声がけをいただく前は訪ねたことがありませんでしたが、今では、すっかり気になるスポットになっています。

もともとフォッサマグナという名前くらいしか知識がなかったんですが、実際に来てみるとヒスイ海岸があったり、それに関連して、日本神話の大国主命が求婚するヒスイの女神・奴奈川姫(ぬなかわひめ)の伝説があちこちにあったり。もちろん、海も山も近い糸魚川は、おいしいものもいっぱいありますしね!

わたしが何かすぐにお役に立てることがあるわけではありませんが、地域や世代を越える滝のお仲間との出会いが、何より嬉しかったです。

美しい棚田と幻の滝、さらに多くの方が楽しんでいただけますように☆

渡辺さん、ありがとうございました!また行きます!