最近はもっぱら山梨県内の滝をいろいろ訪ねてきていますが、先週は富士川町へ。先日は南アルプス市芦安に出かけていましたが(記事はこちら)、富士川町は南アルプス市のさらに南になります。

富士川町の観光地として有名なのが、大柳川渓谷です。

ここ、前回は2013年の春に訪ねていました。なんと約10年前!

(その当時の写真です!新緑が綺麗でした)

当時はこの滝ガールのサイトをはじめる前でしたので、ちゃんと滝の記録を残していないんです。だから記憶もちょっとあやふやな感じでして…。

このたび、紅葉のタイミングでもう一度訪ねてくることができましたので、こんどはこちらでもレポート残しておこうと思います!ほとんど初訪問の気分です。コースに沿って、順に追ってまいりますね。

連続する吊り橋

●大柳川渓谷・おおやながわけいこく●
山梨県南巨摩郡富士川町十谷。源氏山を水源とする大柳川沿いに美しい滝群が続き、それらを吊り橋がつないでいる。散策時間はおよそ1時間から2時間程度。
来訪日:2022/11/11

大柳川渓谷は、旧鰍沢町の十谷(じっこく)集落にあります。

集落に入ると、富士山はこんな感じで見えていますよ!

さて、渓谷遊歩道に入る前ですが、集落の入り口で駐車場も整備されていてお手軽に見ることができる滝があります。

こちら、不動滝です!


立派な落差のある滝!なんですけど、この時間は日当たりが悪くてあまり綺麗に撮ってあげられなかった…。

ちなみにこの不動滝、前回訪れた5月は藤の花が咲いていたのが印象的でしたよ。藤の花が大好きなのでこれは嬉しかったなあ。

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けっこう細い道を通り集落を奥に入っていきます。旅人がお邪魔します、失礼します、という感じです。

遊歩道の散策にはいくつかルートがあって、わたしは第一観光駐車場に駐車し、ぐるっと回るルートにしました。

この渓谷は吊り橋が有名。吊り橋が好きな方は楽しめると思います!(あとから気づきましたが大柳川渓流公園から行くと「竜門橋」を通るんですね。この橋、今回は見忘れてしまいました…)

遊歩道スタートです!

看板にある「つくたべかん」というのはお食事施設で、最後にお昼はここで食べて帰る予定です。

紅葉は、ちょうどはじまったところ、という感じでした!

まずは少し戻る感じで、吊り橋の「竜神橋」を見ていきます。

階段状になっている吊り橋で、途中に踊り場もあったりするのが珍しいらしい!

映え的にはこの竜神橋を景色に入れた写真が良いんでしょうけど、そこまで気が回らなかった…自分自身が渡って満足してしまった…(笑)渓流に見えているのは名のついた滝ではありませんが、爽やかな滝音を響かせていて、わたしのテンションはしっかり上がります!

こちらは、竜神橋から見えていた「やませみ橋」。この先には遊歩道は続いていません。(ということは集落の方が日常生活で使う橋なのかしら?)

途中、巨岩も見どころ。夫婦岩ですって!

岩の間を入るとパワー感じますね… 夫婦だけどピッタリと寄り添っているというわけではなく、少し隙間があるのが面白いですね。新婚さんというより、熟年夫婦な感じ?

「天淵の滝、滝つぼへ」という道は通行止めでした。残念。ちなみに、あまんぶち、と読むそうです。

ここには「竜仙橋」という橋がかかっています。こちらも階段状になっています。

この橋の途中から見える渓谷の景色がいい感じでした!

写真だとスケールが全然伝わらない気がするんですけれど、対岸のほうはかなり高い山の上からも流れがあるのが見えます。萌え萌え。

この竜仙橋は途中でくの字に折れ曲がり、渓谷を渡る形になります。

上流のほうにチラリと滝が見えました!

あれが天淵の滝ですね!手前の巨岩には足場がつくられていますが、昔はそこが滝つぼへのルートだったんでしょう。滝つぼまで行ってみたいけれど、いつか遊歩道直してくださったりするのかしら。たしか10年前も行けなかったと思います。

ということで、天淵の滝は上から見るだけになります。この階段から見下ろすことができますよ!

こちらです!落差は20m程度。巨岩をすーっと一筋で滑り落ちてくるタイプですね。ちょうど滝は日陰になってしまいましたが、紅葉との組み合わせも素敵でした。

カラフルな木々たちが滝を見下ろしています!渓谷ってどうしても晴れの日だとかなり光のコントラストが出てくるので、撮影としてはなかなか難しいですが…

息切れのチャレンジコース

この先にはルートの分岐点があります。

「のんびり歩こうコース」と「チャレンジコース」。帰路はのんびりコースを通りたいので、先にチャレンジコースから。どのくらいチャレンジングなのか、前回訪問時の記憶がなく、ドキドキしながら歩きはじめます。

いきなり登り階段の洗礼(笑)。コロナ禍になってから日頃の運動量がグッと減っている(都内の通勤ってそれなりに運動になっていたんでしょうね)ので、これだけで心拍数上がっていきます。

このあと河原に降りるのですが、地図にある「涼みの滝」に向かう道を見つけられず…。通行禁止になっているとの情報もチラホラ見かけたので、現在、道としては整備していないのかもしれません。この写真の先にあるはず。最初の沢を渡渉さえできれば、ピンクテープも残されているので滝には行けそう。

わたしは今回、涼みの滝はあきらめまして、先へ…

ハシゴ、丸太の橋、だんだんアドベンチャーモードが強くなっていきます。

ここからは林間を山登り!なかなかの傾斜!息が切れます!

看板が30mおきに登場します。この看板に励ましてもらいながら進む感じです…!

時おり空を見上げて、木々たちにもパワーを分けてもらいます!

五段の滝、まぼろしの滝との分岐点まできました!ここまできたらもう少し。まずは五段の滝へ向かいます。

見えてきましたよ!チラッと!

こちらが、五段の滝です!この滝めぐりルートのなかでは最奥の滝となります。

ルートの最奥にあるとはいえ、「迫力がすごい!爽快!」というタイプの滝じゃないんです。滝ガール的に擬人化するのであれば、隠居したおじいさんが待っていてくれたというかんじ。人を寄せ付けない威圧感のある風でもなく、山奥の庵に穏やかに暮らしているおじいさんに見えます。渋い魅力を感じました。縁側でお茶出してくれそう…。

紅葉もとっても綺麗だったのですが、写真だと表現するのが難しいですねぇ。

「五段」というのがどこのことを表しているのかわかりませんが、上にもまだ続いていそうだし、下にもまだ続いていそうだし…。ここから見られるのは二段分、という感じです。水量はいつもあまり多くないようでして、岩盤を伝っていく流れ方。冬はきっと周囲から凍っていくんでしょうね。

ささやかな滝つぼには空と紅葉が映り込んでいます。

五段の滝の前からの眺め!ググッと高度が上がりました!

最近体力落ちたと思っていたんですが、10年前もこの滝に来るのにはそれなりに息切れしたという記憶が蘇ってきました。元気に滝めぐりを続けるためにも、たまにはしっかり運動しなくちゃですね。

いい運動になりましたよ!ありがとうおじいさん!

ちなみにチャレンジコースもう一つの滝「まぼろしの滝」ですが、こちらは遠望しかできません。

写真の右上に見えるのが、穴観音滝、左下に見えるのがまぼろしの滝。どちらも落差のある直瀑のようでぜひ近くで見てみたい!と思わされます。

木々に隠れてしまって、チラリと見えるだけなんですよね。でも、滝音はしっかり響いてきます。

チャレンジコースを下ってくると、河原にまた出るんですが、ここでしばし休憩。水紋が美しくて…ずっと眺めていられます。大柳川渓谷のなかでは、ここがわたしのお気に入り。

無名の淵と渓流に癒される

分岐点まで戻って、「のんびり歩こうコース」を進みます。

こちらの淵、地図によると名前は付けられていないようなのですけれど、趣深い情景を見せてくれました。

深い水がつくり出すグリーンから、紅葉を映し込んだイエローへの絶妙なグラデーション、そしてその周囲にたまっていく落ち葉たちも、この季節らしい風情を出しています…☆

続きまして、この「かわせみ橋」を渡る途中からは…

こちらもまた無名の滝が落ちています。落差としてはそんなにないと思いますが、岩の間に勢いよく流れ落ちてくるので、なかなか迫力があるのです。

ドボボ、と滝つぼの中も泡立って白く見えるのもいいですねぇ。

この滝は、その上にある龍馬淵(りゅうまぶち)から注がれています。特に解説などがないので、なぜ龍馬、なのかはわからずでしたが、下流の滝は白い龍のようでした!

龍馬淵上流も滝になっていて音が聞こえるのですが、この位置からでは岩影になってその姿を見ることはできません。隠されているのもそれはそれでグッときます。

さて、滝めぐりコースも終盤です。

こちらの「観音橋」の先に「観音滝」があるらしいです。この渓谷、滝は多いけれど名付けられた滝が少ないんですよ。観音滝は大柳川渓谷のなかでも有名なビュースポットらしいので、どんな滝かなと思って進んでみると…

あれ、これかしら。意外と小さい…?

龍馬淵から流れ出る無名滝のほうが大きい気がしますが、これが観音滝なのでしょうか。前回訪問時の記憶もあやふやなので…どうだったかなあ…。

橋を渡って、さらに続く「もみじ橋」からの眺めがこんなかんじ。

紅葉に映える素敵な渓流!ですが、これも滝かというと…手前の部分が滝と言えなくもないけれど。

それじゃ観音滝はどれのことなんだろう? おかしいな、と思ってキョロキョロしてみると、ひっそりと観音様がいらっしゃいました。

こういうお像はたいてい滝を見つめているので、その視線の先を見てみると…

あれ? もしやこの細い流れが滝なのだろうか…。うん、確かにここを展望できる場所には小さな東屋があるし、これのことっぽい。

確かに雨の多い季節ではないけれど、それにしても水量少なすぎやしないかしら。

最後はやや首を傾げながらも…素敵な紅葉を見せてくれた渓谷にさよなら!ありがとう!

帰り道は車道から!

観音滝のことが気になったので、車道を歩きながらスマホで検索してみたら、一般的に観音滝と呼ばれているのはあの細い流れの滝のことだったみたいです。観光宣伝用に使われている写真だと、紅葉のなかバーっと末広がりに豪華な感じで流れていたりするんですけれど…。同じ季節で水量にここまで差があるのってけっこう珍しいし、岩盤の感じからして滝としては不自然な形状にも思えていたんですよね。そしたらやっぱり、その滝は人工の滝だという情報がありました。もともとの観音滝とはこの本流に流れる橋から見えた小さな滝と、その上流にある滝を二つ合わせたもののことだとか。

人工だから悪いってわけじゃないんですけど、無粋なこと書いてすみません… でも、ちょっとスッキリ!

遊歩道をひと通り回ってみて思ったのは、大柳川渓谷の見どころは、名前のつけられていない淵や流れなんじゃないかしら、ということ。というのも、名付けられた滝だけを目指していくと、「あれ?」って感じになるかもしれなくて。通行止めで近づけなかったり、木に隠れて見えなかったり、観音滝のようにどれのことかわからなかったり。10年前の滝ガールは単純に「滝に会いにいく」のが目的だったので、たしかにちょっと消化不良な思いを抱いて帰ってきていたような気がします。

でも、今回の訪問でわたしは滝というよりむしろ、無名の淵や流れに魅せられました。いまは落差や水量のあるわかりやすい滝だけじゃない、水の表情の奥深さや山々の彩りのほうにも惹かれるようになってきています。五段の滝でも感じましたが、この渓谷は全体的にシブい魅力があるんです。「あの滝を目指して」というよりは、豊かな自然の中に身を置いて、美しい吊り橋と共に心地よい散策をしみじみと楽しむ…「大人向けの渓谷」なのかもしれませんね。

おまけ・ご当地グルメ&温泉

ランチは渓谷のそばにある「つくたべかん」へ。大柳川渓谷のごはんといえば「みみ」。ご当地すいとんみたいなのです。唐辛子を足して自分好みの辛さ加減にします。ぽかぽか!

そして食後は山の湯さんの絶景露天へ!ここは、前も気になっていたんです。

緑礬泉という珍しい泉質らしいです。こちらは運良く貸し切りで堪能いたしました!

民宿のほうも素敵そうで…いつか泊まってみたいと思います。