日光の冬滝めぐり、その2!
最初に挙げたのが大御所の華厳の滝でしたが、日光には華厳含めて日光三名瀑と呼ばれるベストスリーの滝があります。そのうち、こちらは、芭蕉が訪れて句を詠んだ滝として、有名です!
●裏見の滝・うらみのたき●
栃木県日光市丹勢。大谷川の支流、荒沢川にかかる滝。落差19m。日光三名瀑のひとつ。滝の裏には不動明王が祀られている。もともとは男体山・太郎山など信仰登山のための修行場だった。以前は滝の後ろに通路があり裏側からも眺めることができたが、現在は落石により通行不可。駐車場から徒歩5分ほど。
来訪日:2014/1/13
日光東照宮からいろは坂までの中間くらいに位置していて、駐車場からも近いし、アクセスは良好。日光三名瀑なのですが、一般的な日光の観光ツアーのルートに入ることは少ないので、穴場感がある滝としてお薦め。木道の遊歩道も整備されています。
駐車場から5分ほどで、すぐ滝前です!
落ち口のスタイルが(スリムで奥が見えないかんじ)、わたしは好み!
そして冬ならでは、左側の滝(荒沢相生滝)が凍っていました… 美しいです。
さて、この滝、名前から分かるように裏からも見られる滝なんですが、今は崩落してしまって残念ながら通れません。でも、芭蕉の時代は、ちゃんと裏から見られたことが、分かります。
その芭蕉が読んだ句が、こちらです。
暫時は 瀧にこもるや 夏の初め 芭蕉
(しばらくは たきにこもるや げのはじめ)
この句について、解説を調べてみますと…
「「夏(げ)」は「こもる」と掛けています。「夏篭もり(げごもり)」とは、陰暦4月〜7月中旬(解夏・夏解)の僧侶の修行で、部屋から一歩も出ず90日間篭もる勤行のこと。「しばらく滝裏にこもれば、轟く水音のみを聞いて雑念が払われ、まるで夏籠もりの初めのような境地である」そんな意味になるそうです。
そうでした。俳句って、いかにおしゃれに賢く「掛ける」か、でしたよね。学校で習ったのに、すっかり忘れています。でも、この句は、技巧的なものというよりは、芭蕉の滝への感動がそのまましっかり入っていると思います。
『奥の細道』には、こうあります。
「廿余丁山を登って滝有。岩洞の頂より飛流して百尺千岩の碧譚に落ちり。岩洞に身をひそめて入て滝の裏よりみれば、うらみの滝と申伝へ侍る也」
「百尺飛ぶような勢いで、多くの岩が重なる青々とした淵に落ちている」というのが、こちらの様子です。
今は裏側には入れないけど、この風景はきっと当時から変わらないんじゃないかと思います。芭蕉が「碧譚(へきたん)」と表現した色。「碧」とは、無色の奥から浮き出すあおみどり色のことだそうです。無色であるはずの水の流れから浮き出した色、とはまさに、この滝壺のことですね!
轟音のなか、滝のしぶきを感じ、滝壺の碧を水のカーテンの裏から眺める… この滝にめっちゃ癒されたんだろうなあ、芭蕉さん。
で、せっかくなら、わたしも、一句ひねろうと思ったのです。んーんー。
………。
ダメ!
集中できない!
その理由は、展望台にラブラブカップルがいらっしゃったから(笑) お邪魔虫は早々に退散しなくてはと思い、あんまり長居はしませんでした。句を詠むかわりに、空気を読んで、ふたりっきりにしてあげた!
…ともあれ、芭蕉さんはけっこう滝好きで、滝の句はいくつも残しているので、そのお話もまた書きたいと思います!