バッタバタの2、3月(継続中)。
こちらも久しぶりの更新になってしまいました…!! 忙しい〜とボヤキつつも、滝には、ちょいちょい通ってますよ☆
先日は、伊豆へ! 目的地は、河津七滝(かわづななだる)です。
わたしは大好きでこれまでも何度も来ていて、たくさんの滝が一度に見られる場所なのでブログ記事でも「滝ガール入門コース」ということでご紹介してましたが……(記事はこちら)
今回はひと味違う、スペシャルな滝めぐり。ジオガイドさんにご案内いただいたんです〜!
ご一緒してくださった、ジオガイドの土屋光示さんです☆
ジオガイドとは、ジオパークを案内してくださるガイドさんのこと。2012年に日本ジオパークに登録された、伊豆半島ジオパーク。河津七滝もその中の河津東伊豆エリアジオサイトに指定されているんですね。
伊豆半島ジオパーク
http://izugeopark.org/
そもそも、「ジオパーク」って何ぞや? というと…
「ジオ(地球)に関わるさまざまな自然遺産、たとえば、地層・岩石・地形・火山・断層などを含む自然豊かな「公園」のこと。山や川をよく見て、その成り立ちに気付くことに始まり、生態系や人々の暮らしとのかかわりまでをつなげて考える場所です。足元の岩石から頭上の宇宙まで、数十億年の過去から未来まで、海や山の大自然からそこに暮らす生き物と人々までを一つにして考える。つまり地球を丸ごと考える場所、それがジオパークです」(日本ジオパークネットワークの説明文より)
「つまり地球を丸ごと考える場所、それがジオパーク」
そう!
わたしがこれだけ滝めぐりにハマっているのも、この「ジオパーク」的な要素に惹かれていることが大きいんです。
この活動がヨーロッパで最初に誕生したのが、2000年、日本ジオパークネットワークが誕生したのは2009年。そんなわけで、わりと新しい組織なので、一般にはまだ広く知られてなかったりもするかもですが、この活動自体は、滝ガール的にすごーく共感!なんです。
滝の前にくれば、誰もがその美しさと清々しさに癒されますが、その成り立ちまで「知識」として知ることができれば、もっと地球を深く理解することにつながり、「地球の一員として生きている」という実感が生まれます。それってわたしたちにとって、実は深い部分の癒しになるんじゃないかと思います☆
…と、前段が長くなってしまいましたが。
日本全国にジオパークは数あれど、「滝から地球を考える」というテーマとしては、この河津七滝こそ、まさにぴったりの場所。ずーっと気になっていたところでした。ようやく今回、専門のガイドさんにお願いして、ご案内していただくことがかないました。
やっぱり、めっちゃ楽しかった! …ので、ハイライトでこちらでもご紹介しますね。
まずは前編、メインの河津七滝めぐりの様子から。
スタート地点。今回は上流の「水垂」駐車場から下っていくルートです! ジオサイトに指定されたことで遊歩道やこうした看板類がきれいに整備されています。
と、ここでまずは土屋さんから七滝クイズ!
土屋さん特製フリップ登場です〜!
伊豆を愛し、「伊豆の踊り子」で物語にまでした川端康成の言葉を引用。
このかんじ、何かに似てる…と思ったら、「プラタモリ」だ〜!笑(見てる人には分かるはず!)
博学なタモリさん、特に地質、地形、歴史には強いので、こういう専門家の方の出すクイズに絶対正解しちゃう。ちなみに、わたしは当たったり、はずれたりでしたが……自分でも考えながらだと、理解が進むんですよね☆
まずは、この七滝が「滝から地球を考える」のに、ぴったりの場所だという理由から押さえましたよ。
伊豆ははるか南の海底火山がプレートにのって浮上しながら北上し、本州を構成する二つのプレートの境にぶつかってできた「3つのプレートの接点上にある地域」なんですね。現在も火山活動を続けていて多様な地形を作り出しているとのこと。こうした場所は世界のどこを探しても見あたらないそうです。
世界の学者さんたちも注目する、まさに地球の「特異点」!
あらためて、そんな希少な場所だったとは! 圧倒されながら、滝めぐりスタートです。
こちらが最も上流に落ちる、猿田淵です。
成り立ちについては、案内板にも書かれていますが…
さらに土屋さんに説明してもらって、すっきり納得でした!
七滝が生まれた流れを、ごくごく、かいつまんでいうと。
2万5000年前に、伊豆半島東部に点在する活火山群のひとつ「登り尾南火山」が噴火!
↓
流れだした溶岩が、山の谷に沿って流れ込んで…
↓
溶岩の表面と底は谷の形に冷えて固まり…
↓
固まった溶岩の上に再び川が流れはじめる!
↓
→削り取られて様々形態の滝を形成し、溶岩が冷えてできる「柱状節理」が露出する!
というかんじ。
滝ガール的に興味深かったポイントは、この溶岩の「上」を川が流れるか、「脇」を流れるか、で滝の形が変わる!ということ。河津七滝のなかでも、この2種類の成り立ちがあることがわかりました。
溶岩の上だと「滑滝」で、溶岩の脇だと「段差のある大きな滝」になるんです!
猿田淵は、まさに滑滝タイプ。柱状節理の上面が削り取られて鱗状のツルツルの川底になっています。
一方こちらは、猿田淵のすぐ下の釜滝ですが、
落差がしっかりあるので、溶岩の脇を川が流れてできたタイプですね!
釜滝で圧巻なのは、なんといっても左岸壁をまるく包み込むように発達した柱状節理!
滝の名前は、「お釜」の形状に由来してるそうですが……
この「横倒しの柱状節理」がどういう意味なのか、ずっと気になってたんですよね。
今回、説明していただいて、謎が解決!
溶岩が冷えて体積が縮まっていく際に割れ目ができて柱状節理になるのだけれど、この割れ目は、冷やされる面に「垂直に」のびていくんだそうで。いま、この滝が落ちている空間が、水に削り取られる前は「山」で、そこに接する形で溶岩が流れた……ということがわかったのでした。なるほど〜
釜滝のもうひとつのポイントが、滝つぼの右側にある、柱状節理ではないつるっとした岩ですが……
こっちのは成り立ちが違うもので、もっと昔、伊豆が海底火山だったころの地層がむき出しになってる!っていうことなんですね。
(これはわたしもクイズ当たった!)
この地層は1000万年くらい前の海底火山時代のものなので、左側の2万5000年前の陸上火山の溶岩と比べると、ぜんぜん年代が違う。
この滝には伊豆のながーい歴史がぎゅぎゅっと凝縮されてるんですね!
想像力をはたらかせて、1000万年前からの地球の歴史を追いかけてみると、今までとはまた違う感慨がわいてきました。
そして、釜滝の下流には、エビ滝。
これが河津七滝で唯一、柱状節理が見られなくて、つまり海底火山時代の岩に落ちている滝なんです!
お寿司のネタの「エビ」に形が似てます、ということですが、柱状節理がない滝だから、こういう形になるんでしょうね。
こちらは、柱状節理の上を流れる、ヘビ滝。
写真と比較してくださるとわかりやすい! たしかにウロコに見えます〜☆
こちらは遊歩道をくだったところにある、有名な初景滝。
ここでは、江戸時代後期の日本画家、谷文晁の描いた初景滝を見せてくださいました。
この絵は、幕末、松平定信の伊豆視察に同行していた谷文晁が当時山の中腹を通っていた旧下田街道から描いたもので、初めて見えた滝としてその名が付いたとのこと。
ちなみに、この滝には中国人のお客様が特に感動するんだそうです!
なぜかというと、30年前に山口百恵版の映画「伊豆の踊子」が中国で放映されて、大人気だったから。滝の前に踊り子さんと学生さんの銅像がありますもんね〜!
こんなふうに地形のことだけじゃなくて、歴史文化、いろんな角度からの話をしてくださった土屋さん☆
知的好奇心が刺激されっぱなしの滝めぐりです〜! まさにブラタモリ風〜笑(土屋さんも好きな番組ですって)
盛りだくさんの河津滝ツアー、ほかにもいくつも面白いポイントをご紹介いただきましたよ。
後編に続きます…!