鳥海山麓の滝、その3。

実は今回の旅で、一番狙っていた滝です。
と、いうのも、潜流瀑(せんりゅうばく)だから!

●元滝伏流水・もとたきふくりゅうすい●
秋田県にかほ市象潟町関元滝。鳥海山に染み込んだ水が岩肌からわき出して滝になっている潜流瀑。落差5m、幅30m。平成の名水百選にも選出。
来訪日:2013/10/19

※ちなみに「元滝」はもともと、この滝をさらに沢を200mほど登ったところに落ちる滝のことを差しているとのこと。ただし、現在は元滝へのアプローチは危険なため通行止です。

潜流瀑とは、山の伏流水が滝になったもので、非常に珍しい滝の形です。
この記事でも過去に紹介したところでいうと、富士山麓の白糸の滝陣馬の滝、北海道大雪山の白ひげの滝、ほかに、山梨県の吐竜の滝などもあります。

雨や雪として山に降り落ちて、岩に染み入った水が、暗い岩の中を、長い間、ゆっくりゆっくり。神聖な山の懐に守られ、汚れることなく、ひたすら岩の中を流れて…そして、数年後。ついに光を浴びるその瞬間こそが「滝」になっているという。

ああ、もう、ニクいー!!

「音を立てて落ちる」というだけでも、滝はドラマチックだと思うのですが、そこに「突然現れる」人間に触れられていない綺麗な水」という要素が加わって、ドラマ倍増。また、その姿は、狭い岩盤の間から落ちるだけあって、奥ゆかしく繊細です。

そして、この自然の造形には「火」も大きく関わっています。水が浸透する岩というのは、多くがもともと火山の溶岩だからです。美しい水の芸術には、火も欠かせないということ。火山の国、日本だからこそ、の滝なわけで…。

まさに、日本の美、ここに極まれり!!

…と、潜流瀑への愛をつらつらと最初に書いてしまいましたが。この元滝伏流水は、先日の滝イベントで買った本のなかでお薦めされていて、どうしても早く会いたかった滝なのです。

駐車場からのアプローチも、軽いお散歩に最適です。

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そして…見えてきました!

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ああ、ここは、もしかしてわたし的には、一番かもしれない。

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キングオブ・潜流瀑…
というか、
潜流瀑キングダム。

あえて、王国、と評したい。全体の雰囲気が、品があり、統一されているのです。白い滝を最も引き立てる絶妙のライティング具合。岩のひとつひとつが、丁寧にコケに彩られています。勢いのある主流が、王様、その隣を可憐に流れるのが、王妃様。その手前には、控えの従者たちの流れが続いて… そんなかんじです。

本当にコケが綺麗で、うれしそうで。ここには、苔ガールも連れてきたいです。

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幅広に落ちるからこそ、景色全体に、包み込まれるような、不思議な感覚になりました。

動画はこちら。

2008年に平成の名水百選に選出されて以来、有名な観光地となったようで、この日もカメラマンさんがたくさん訪れていました。多くの人が魅せられるだけのことはあります。

これからも、観光地化されすぎることのないよう願います!みんなでこの聖地を守っていきたいですね。

奈曽の白滝からとても近いので、ぜひセットで巡ってみられることをお薦めします!