那智の扇祭りレポート【後編:大迫力!炎の乱舞と扇神輿】

那智の扇祭りレポート【後編:大迫力!炎の乱舞と扇神輿】

念願の、那智の扇祭り!

前編 那智の扇祭りレポート【前編:大門坂&那智田楽でスタート】 に続きまして、後編です。

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雨の中、カッパ装着で那智の滝の前にスタンバイしてましたが…

2時前くらい、なにやら、ざわざわしてきました。

あっ。松明が先に降りてきましたー☆

いよいよ「火祭り」が始まるんですねぇ。「那智の扇祭り」は長らく「那智の火祭り」として親しまれていて写真などを見ても火祭りのイメージが強いんですが、あくまでも祭りの中の一部。ここから始まる神事「御火行事」のことなんですね。

那智の滝の元に「里帰りする」神様たちを乗せた扇神輿がこれから降りてくるわけですが、大松明たちの役割はその神様が通る滝までの道を炎の力で「お清め」するためのものです。

さあ、続きまして、熊野那智大社の宮司さんがいらっしゃいました!

この後から、割と怒涛の展開でした!!

一斉に「ザアーーーザアーーーホウーーー」という声が上がり、大太鼓が連打。
ちなみにこの言葉は、滝の音のことらしいです。滝が呼んでる、みたいな感じかなあ…

松明を持った「使」が2組に1組になって走って石段を登っていきます。

一の使、ニの使、三の使…

この時、那智の裏参道にあった「伏拝」にて扇が待機しているので、そこへのお知らせ係なのだそう。

ここでガイドの橋口さんが「あっあっ、カラスさんです!」と。

ん?

本当だー! 
熊野で神聖とされている八咫烏(ヤタガラス)です。烏帽子(えぼし)の原型がこれなんですって。こちらはまんまカラスですね!

橋口さんはなんと「カブリものファン」だそうで、嬉しそうです(笑)

赤装束でカラス帽の方は権宮司さんだそうです。滝前に移動していかれました。

そして火を持ったお使いが戻っていらっしゃると…

いよいよっ!

大松明が滝前から出発でーす!

カメラを持つ手がすごい!笑

ここからが「火祭り」のハイライトですよ!

メラメラと炎をあげる大松明12本が石段を登っていきます!

50kgもあるという大松明。氏子さんの一人が持って、もう一人が石段の通路に置いてある手桶の水を杯で汲んで火の粉を消していく。口に含んでプーッて水を吹きかけているのは、燃えすぎないための介助なのですね。

一直線に石段を登っていくのかと思ったら、この松明は石段の上をグルグルと参道を反時計回りに回っていきます。

このターンするところでヨロヨロ…と倒れかかり松明を石垣にぶつけてしまっていたので、それほど重いのかあ…とか思っていたら、そうじゃなくて、わざと石垣に松明をぶつけて、炭になった部分を払っているんですってよ。なるほどー。

ちなみに前列の方は松明に触らせてもらったりもしてました。縁起物なんですね。

大松明が出発して、7分後くらい。
ついに、わたしの席からも扇の姿が見えてきましたー!

おおお!!
やっぱりこれは…扇が主役ですーーーー!神様のお通りです!!

普通のお神輿とは形が違うけど、確実にわっしょい感がありますね!

こんな感じでズラズラと登場。
炎の乱舞のあとに、これは圧巻です…!

扇神輿の前の方たちも日の丸の扇子を開いて松明の炎を扇いで、扇神輿にかけていますよ。神輿を担ぐ方たちは紫色の浴衣を着られているのですが、これがまた扇の赤と組み合わさると絶妙のカラーリングで美しいなあと思います。白だけより、華やか。

扇の一団の先頭にいらっしゃる方が持っているのが、白い馬の絵が描かれた大きな扇です。昔は本物の白馬が先導していたのではないか、とのことです。

大滝の前に到着した扇神輿は、順番にカラス帽の権宮司さんによってなにやら変わった道具でサッサッとお祓いを受けていきます。

これを「扇褒式」というそうです。

そして…
12の扇がついに滝にご帰還!!!

轟く滝を背に、ずらり並んだ扇。扇が滝の形を模したものであるということも関係しているのかもしれませんが、不思議としっくりきている風景に見えます。「今年も無事に帰ってきました」という風情があって、その様子に滝ガールはジーンときてしまいました。

滝が神様たちの故郷とされていたのって、やっぱり古来人々が滝を「生命の源」と信じて崇めていたことの表れなのでしょうね。

…さて、このあたりでごった返していた滝前も観覧客がサーっと引いていきます。

でもお祭りはここでは終わりませんよ!

ガイドの橋口さんから「ここからもかなり面白いです」とおっしゃっていたので、じっくり拝見。

滝前では儀式が粛々と行われていきます。

知事さんたちによるお祈り。

お供え物。

そして「御田刈の式」

これは、この日の前に行われていた田植式につづいた儀式で、氏子さんが鎌を持って田刈歌を歌いながらゴザの上をグルグル回っていきます。ゴザ=田んぼという見立てです。

「そうそう!このカブリものも可愛いんですよ!」とカブりもの好きの橋口さん(笑)。

確かに!草で作られた帽子は稲作をイメージしているようです。

次に現れるのが…

これはエラいお役人さんの役。部下?に傘をささせてこの年の収穫について見回りしているところなのだそうです。

お役人さんは軍配をひらひらーとさせて「千年万年、あっぱれあっぱれ」と声をあげながら回るのですが、お腹を突き出していかにもエラそうなお役人さんという感じが、風刺がきいていて面白かったです。ああ、基本的には農民の目線なのかな、と。

ちなみに「千年万年」のところ、今年は「創建1700年」と特別バージョンになっていたようです。

神様が集合したところで人々が滝に何を祈るのかっていわれたら、メインはやはり五穀豊穣なんですね。ここも妙に納得。祈りとしてとても切実です。

そしてクライマックスが、こちらの舞。
「那瀑舞」です。

歌いながらの舞。

その歌がこちらです。

けふのでましの あなあら貴と 滝の流れも さらさらと塵も残さず 神風ぞ吹く 神風ぞ吹く

自然への畏敬を素直に表した歌ですね。

笛の調べと歌声は滝の音に重なり、余韻を残しつつも…

これにて里帰り儀式、終了です!

この後はお馬さんの先導によって…

また扇も那智大社まで戻っていきます。

…というわけで、大満喫の扇祭りレポでした!!

わたしはただ見物していただけですが、その場の高揚感は大変すごかったので、終わった後、しばしポカーン。火祭りの部分だけではなく、ざっくりとでも全体をみられたのがよかった! 終わってみると、あっという間だったなあ、と思います。

祭りのあとならでは、独特の寂しいような、やりきったような雰囲気の残る、空間のあの感じ。那智の滝の前もそういうムードになっていましたねぇ。

水と火と風が合わさった、ここにしかない神事。実際に現場で体感できたことは何よりも貴重な経験となりました。

祭りがこの独特の形となった理由ももっと知りたい。そのことはやっぱり日本随一の滝がここにあったということなしには語れないことだと思いますし。滝と信仰の関わり合いのヒントが詰まってる。

これからの熊野の滝文化研究に向けて、わたしの心にも火がつけられたような気がしてます!

(翌日のお滝さまと。なんだかもう随分落ち着いていらして、やっぱり前日の祭りの雰囲気とは違いました)

☆おまけ☆

ちなみにこのお祭り、外国人の観光客がすごく増えたようです。
終わった後、あの田刈式で使われた帽子が観覧客に配られていたようで、撮影大会が始まっていました。外国からの方は特にこういうのとても嬉しそう!

まあ、わたしもかぶらせてもらいましたけども!笑

なんだか浮かれてた感じが伝わりますでしょうか。

最後は、黒飴ソフトで締めました!