なぜか熊野に通いまくっている今年ですが…

ついにきました、今年の一大イベント〜!

熊野那智大社&那智の滝で行われる「那智の扇祭り」

例年7月14日なので、ここに合わせてがっつり夏休みをとって、参加してきました。

(実はこの前日の7月13日にNHK和歌山で取材していただいた番組の放映があって、ちょうどタイミングよく和歌山滞在中だったので見ることができちゃったんです!記事はこちら

ちなみに扇祭り、実は10年以上前に一度だけ訪れたことがあるんですよ。

それは滝にハマり始めた最初のころ。その時は初めての和歌山で、今みたいに道もよくなかったので、クルマでの所用時間を読み誤り… 滝に到着した頃には、すでに祭りのクライマックスでした。

当時の記事はこちら

しかも当時はまだ熊野の文化も何も知らなかったので、ほとんど「那智の滝、スゲーーー!」という感想しか抱けなかったんですよね。

それから歳月を経て、いま、熊野の独特の文化にハマりつつある滝ガールにとっては、やっぱり外せないのがこの扇祭り!

日本一の滝(一段の直瀑では落差日本一)で、その滝自体が御神体として今も信仰されている。日本の滝文化の象徴と言ってもいいでしょう。滝文化を追いかけるなら、このお祭りこそまずは見なくちゃ、なんです。しかもしかも、今年は熊野那智大社創建1700年の記念イヤーでもありますしね。

念願かなって、朝から夕方まで、1日たっぷり祭りの空気を堪能してきました。

滝ガール目線でこちらでもレポートをしたいと思います。盛りだくさんすぎたので、まずは前編です。

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まず今回、ご一緒いただいたのが!

「熊野・那智ガイドの会」の橋口雅美さんです。

せっかく訪れるなら祭りの意味についても、より深く知りたいし、段取り的なところも地元で詳しいお方にご案内いただきたくって…ガイドをご依頼させていただきました。

まずは、こちら。
大門坂からスタート。

那智山に続く、全長約600m、高低差約100mの石畳の熊野古道。かつて坂の到着地点に大きな門があったことからこう呼ばれているのだとか。熊野古道といえば!な立派な杉並木の風景が見られるところ。

那智の滝には何度もきているけど、実は大門坂はちゃんと登ったことが、なかったんです…!

と、まずは熊楠さんゆかりの地が!
「大阪屋」旅館跡です。熊楠が3年間逗留したところですね。

ここかあ…☆ 熊楠ファンとしては、ちょっとそわそわ。

ここからが霊場への入り口、といわれた「振ヶ瀬橋(ふりがせばし)」。ここを渡ると。

いよいよ古道ウォークです〜

登り口には巨大な杉が待ち構えてました!

樹齢800年の夫婦杉です!

ここでテンションアップのわたし。

橋口さんにガイドをしていただきながら。

るんるん古道歩き〜♪

鎌倉時代に頼朝さんが杉を植えて、江戸時代に吉宗さんが石段を整備したといわれています。

前夜には雨が結構降ったので、石畳はしっとり。雰囲気いいです! 結構、滑りやすいので注意です。

唐斗石という大きな石がありました。これは祈り石と言われていて、石が滝に向いているんだとか。

で、このすぐそばに!

ちらり。

木々の間から滝が見える場所が☆

ここが「十一文関跡」
滝がもう見えるよ、ってところでわざわざ通行料を徴収したという、なんだかちゃっかりしている場所です。

お金がない人はここで待って、お金持ちが通った時に一緒に払ってもらって通してもらっていたと言います。

橋口さんとはここらあたりから「信仰とお金」というテーマでおしゃべり。
わたしは普段はお金関係の仕事をしていることもあって、信仰の歴史の背景にお金の動きが見え隠れしたりすると、そわそわ興味が出てきてしまうんですよね。もともと古代の熊野エリアは銅などの金属の産地だったからこそ重要視されていたというお話も。うーん気になるー。

さてさて。

登り始めてから、40分くらい。ようやく大門坂上に到着です。

ゼエゼエ… 笑
こちらの案内板によると、京都からは往復1ヶ月。たった40分歩いただけで何へばってるんだ、って感じです。

でも、ここで終わりじゃないんですね。

どーん。
参道はまだまだ続きます!

ここからは以前も登ったことあるけれど、あれ、こんなにきつかったっけ、な? 笑 那智大社までは432段、あるのだそうです。

さらに汗だくになりながらも…

ついたー!!!

大門坂から登ってきたことで、なんだかこの景色もいつもよりありがたみが増している気がしました。

しかもこの日のお滝さん、相当やる気を出してる! ドーーーン、と自信たっぷりに落ちてました。やっぱりこの滝はどーんと勇壮なのがいい。前日の雨でしっかり水量調整をしてくださっていたんですね。さすがです!

ここからは祭りの様子を少し見学。
那智大社の前の広場には人だかりができていました。

ちょうど、那智田楽が始まるところでした!
那智田楽は国指定重要無形民俗文化財にもなっています。華やかな装束を身に着けた那智田楽保存会の皆さまが、境内に設けられた舞台で笛や腰太鼓を奏でます。600年以上もの歴史があるのだとか。

ここから真剣に雨が降ってきちゃった…

編木(ビンザサラ)という楽器。シャラッシャラと鳴る音がなんとも心地よい…

明治の神仏分離でさまざまな伝統芸能が廃れてしまった中で、ちゃんと継承されているのがとても貴重だそうです。
そうなんです、那智山は日本の中でも特別に「神仏習合時代」の名残が色濃く見られる場所。

青岸渡寺は明治の神仏分離令までは熊野那智大社と一体で、神仏習合の修行道場として栄えたところです。その以前の那智山如意輪堂から青岸渡寺と名前は変わっても、こんなに堂々と隣り合って残っているのってやっぱり珍しい。この辺りの歴史背景も、すごく気になっています。ああ勉強したい…

青岸渡寺の屋根に残るのは、豊臣の御紋です。

それから、こちら。
青岸渡寺の山門なんですが、正面に仁王像、背面に狛犬がおられるのだとか。

ちなみにこの間、那智大社の前にはズラーリ。

高さ6mもの扇が12本、並んでいますした。

おお、扇祭りっぽさが出てきてますねー!

いつもは熊野那智大社に祀られている十二の神々が年に一度、この扇の神輿に乗ってかつて祀られていた那智の滝の元に“里帰りする”というのが、この祭りの意味。ひょろっと長い変わった神輿の形も滝を模しているのだとか。

なぜ「扇」かというと、やっぱり「風」と関連があるそうです。風はこちらからあちらへ吹く時には災厄を除き、あちらからこちらに吹く時は福を招くという願いが込められているのだそうです。

こちらの扇にはこの時点ですでに神様の魂を「移し済み」
扇たちは田楽が奏でられているステージの方をちょうど向いているんですが、「神様たちに聞いてもらっている」ということなんですって。へええ、面白い!

もうこういう細かいお話も、やっぱりガイドさんからタイムリーに聞けるってすごいありがたいですよね。

さて、引き続き那智大社前でのお祭りは続いているのですが、午後の滝前儀式に向けてそろそろわたしたちはスタンバイしておく必要がありまして。

扇さんたちに少しだけお別れです。

さあ、あの滝を目指しますよ!

那智大社と那智の滝を結ぶ、裏参道を下っていきました。扇もここを下っていきます。

大門坂よりも急坂で均等でもなくかなりデコボコしていますが、こちらは鎌倉積みといって大門坂より歴史のある道なんだそうです。

途中ポイントの「伏し拝み」。ここは那智の滝の遥拝所になっているそうですが、扇もここでいったん停まって、「扇立て神事」というのが行われます。

そして…

滝の音が近づいてきました!

階段の脇はすでに見物のみなさんがたくさん待っていらっしゃいました。

もう座るとこなーい、と焦るところですが、実は、今回はしっかり準備してました。
今年から那智勝浦旅館組合さんが、100名限定で特別観覧席をベストポジションにご用意くださっていたのです。わたしもすかさずそれを申し込んでいました!前日に旅館組合さん加入のお宿に泊まる必要があるのですが、旅行者にとってはとてもありがたいシステムです。

そんなわけで無事自分たちのポジションを確保。

ここで1時間ほど、滝前儀式を待ちました…☆ 
実はこの待機中は雨がけっこうな勢いで降っていたんですよね。これが驚くことに扇が来る頃には見事に止むんです。カッパでスタンバイ中。

ワクワクそわそわ。

ということで、興奮の松明&滝前儀式は後編に!
続きます!