NHK和歌山の取材裏話、その3です。

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今回の取材の際、実は憧れのある方を訪ねてきたんです。

こちらの男性が、そのお方!
和歌山の滝レジェンド。
「紀州の滝340」(紀伊民報社)の著者である小板橋淳さんとお会いしていました!

きゃー。

長年にわたり、熊野の地域文化の向上に貢献された、ということで3年前に「田辺市文化賞」も受賞されています。

本がこちら。

この「紀州の滝340」については、別途また読書録をアップしたいと思うのですが、またすごい熱量の本でして。和歌山県内の国土地理院に滝マークとして記載されている滝について、小板橋さんが全て訪ねて、その様子を写真とともに記録してあります。

2001年発行。絶版になってすでに高値がついているのですが、私も定価の数倍の価格でしたが何とかオークションで落札して以来、愛読していました。

「いつかお会いしてみたいんだ」という話を白浜在住の友人に話していたら、そのさらにお知り合いを通じてご紹介をしていただけることに。なので、もともとお会いできることにはなっていたのですが、ちょうどそれが今回の取材のタイミングに重なったんです! だから小板橋さんとお会いするシーンも、放送の中にチラリと入っていたというわけ。

田辺市在住の小板橋さん。お会いするならせっかくなら一緒に滝を見ながらにしましょうか、ということで…

ロケ場所は、こちらになりました。

すさみ町の琴の滝です。琴の滝は今年のはじめにも訪れていたのですが、また冬と夏とではかなり印象が違いましたねぇ。(前回の滝の様子はこちら

さて、滝の前で座って、滝談義。

これまでの滝めぐりの写真を見せていただきながら、滝好き同士の話をいろいろと。

やたら楽しそう!笑

もともと小板橋さんは、国体の山岳競技にも出場した山のスペシャリストでいらっしゃいます。和歌山で銀行員として働くかたわらで、各地の山歩きをされてきた中で、滝にも魅せられていったとのことです。

「田辺アルコウ会」という市民団体で今も活動されているのですが、そこでは過去に一般の公募の滝ツアーも3年で18回も開催されていたとのこと。記録を見せていただきました。

これによると滝めぐりシリーズが開催されていたのが、15年くらい前。小板橋さんは今79歳でいらっしゃるので、当時も60歳半ばでここまで精力的に活動されていたのに驚きです!

「ここは行った?」と写真を見せていただいたのが静閑瀞(せいかんどろ)。まだわたしも行ったことがない憧れの秘境なんです。ああ、一緒に行きたかったっ!

で、実際のテレビ放送ではこんな感じで…

「坂崎さんは郷土史家から滝の歴史を聞く“歴史滝”でもある」という字幕説明が入っているのですが、そうそう、そういう面もありまして。

(ちなみに「歴史滝」というのは、歴史という切り口で滝を楽しむ人のことを、そう名付けているのです。鉄道マニアに「乗り鉄」とか「撮り鉄」がいるように、滝にもいろんな楽しみ方があるんです)

小板橋さんは、和歌山県観光ガイド専門員「紀州語り部」としても活動されているので、滝の背景にある伝説や文化風習などについてもお詳しい。

わたし自身も秘境の滝をストイックに訪ねていきたい、というよりは最近は滝にまつわるその土地の「滝文化」に関心があるんですが、小板橋さんの書かれている本に一番共感するポイントが「滝を見るときはその文化的な背景も味わおうよ」という提案がなされているところなんです。

というわけで、この「琴の滝」についても滝にまつわる言い伝えについていろいろお話を聞きました。

この辺りは、豊臣秀吉の紀州攻めにあって追い込まれた戦国武将、山本氏一族が開墾して移り住んだ隠れ里だったということ。

滝の前には古い石仏もあって、これは江戸時代のものです。

石碑は一緒に解読チャレンジです。笑

いろんな話をさせていただいて本当に嬉しかったけれど、小板橋さんからいただいた中で、印象に残っている言葉が二つ。

一つが、
「滝は“変化”するからいいんだよ」

深く頷くわたし。そうなんですよねぇ…!
滝って、季節と時間とお天気と、で全く印象が変わります。琴の滝にしても、冬と夏とでは姿が違うし。だから、終わりのない、楽しみなんです。ここにも小板橋さん何度もいらしていると思うけど、今回も楽しんでくださっている。

琴の滝を一緒に眺めながら「今日の滝は本当に牛鬼が出てきそうだ」っていう話もしました。琴の滝には牛鬼の伝説も伝わっているんですが、確かに!この日のように激しい水量のときの滝つぼなら、そういう伝説にも納得ですよね。

そして、もう一つ。
「10年前にお会いしたかった」 って…。

それを聞いて、わたし、ちょっと涙ぐんでしみじみしちゃいました。

だって、すごく楽しかったから!

小板橋さんが滝めぐりのツアーを精力的に開催されていたのが、きっとその頃なんです。だけど、わたしが20代そこそこの頃は、たぶんまだ滝のこと、ぜんぜんわかってなかったしな…

だから、今じゃないと、出会うことができなかったんですよね。
まだまだお元気でいらっしゃるから、絶対、一緒にまた滝に行きましょうね!って。

そうお約束して、お別れしました。

世代を越えたお付き合いができるというのも、滝を趣味にしてよかったことの一つです。

…で。

実際、またすぐに(10日後!笑)、田辺に出かけたときに小板橋さんのお宅突撃して、お会いしちゃったんです。

本にサインももらって…

さらに、ちょっと行きますか、ってな感じで、田辺の奇絶峡もご一緒して。

ありがとうございました☆

取材裏話これまで
【NHK取材裏話・1】水量大暴れ!宝龍の滝と久々の再会
【NHK取材裏話・2】新宮の穴場!鳴谷一の滝で爽快滝ヨガ