ゴールデンウィーク滝遠征日記、木曽路編! どんどんいきまーす!

前回まで。
竜神の滝/銅穴の滝・岐阜県【中津川夕森公園の新緑ハイク】
不動滝/高樽の滝・岐阜県【中津川の秘境、付知峡の滝へ】
付知峡渡合三滝ほか・岐阜県【ランプの宿と朝の滝さんぽ】
阿寺渓谷・長野県【木曽路大桑村のエメラルドグリーン天国】

長野県大桑村から中山道を北へ進み、お隣の上松町へ。ちなみにこれ「難しいわけじゃないけど馴染みがない土地だと読み方間違える地名シリーズ」ではないでしょうか…。うえまつでも、かみまつでもなく、「あげまつちょう」と読むのですって。

ここまでの滝めぐりは、木曽路中山道をたどってきたわけですが、ここ上松町には中山道の歴史に触れられる滝があります。現在も国道沿いから見られるお手軽な滝です!

●小野の滝/おののたき●
長野県木曽郡上松町小野。落差は約20m。国道19号線のすぐ脇にある。木曽八景の1つに数えられている。
来訪日:2016/4/30

じゃーん!

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ね! どうですか! 水量も豊富で、新緑に映えて、すごく良い滝ですよね〜!
水しぶき、バシバシ飛んできますよ〜。

そう、滝自体はわたしの好きなかんじなんですが…

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ちょうど真上に鉄道の鉄橋がかかっているんです! わーん、なんか惜しい。

この鉄橋は明治42年につくられたそうです。滝ファンとしては景観が変わってしまったことは残念ではあるんですが、この橋脚も無骨なコンクリートそのままではなく石積みで風情を醸し出すようにしてたりしてて、なるべく景観を守りたかったという努力は伝わってくるので……うん、しょうがないですね。

(ちなみにここを通る「特急しなの」の車窓からも滝は見られるそうですが、観光列車のように“減速”はしないそうです…)

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で、こちらの案内看板にも書いてあるように「中山道沿いに落ちる滝」ということで江戸時代の人々にとっては、かなりポピュラーな滝だったようです! 

日本を代表する風景浮世絵師といえば葛飾北斎歌川広重ですが、両者とも、実はちゃんとこの小野の滝を描いているんですよ〜☆

これを実際の滝と見比べてみると面白いんです!

まずは、葛飾北斎の「諸国滝廻り 木曾海道 小野ノ瀑布」(1831年)。

A_Tour_of_the_Waterfalls_of_the_Provinces-Kisokaidou_Onono_Bakuhu

「諸国滝廻り」といえば、北斎さん晩年の傑作シリーズ! こちらは8作あるうちのひとつなのです。過去にわたしのブログでも日光の霧降の滝を訪れた際に北斎の描いた滝について書いたことがありますが(記事はこちら)、こちらの作品もいいですねぇ。実際の滝のダイナミックな個性がすごく伝わってきます。両脇に迫る岸壁のかんじも、わかるわかる、という。

そしてこちらが、歌川広重による「木曾海道六十九次之内 上ヶ松」(1837-42年)。
(「木曾海道六十九次」全体では渓斎英泉との合作です)

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北斎さんも広重さんも同じ場所を描いているわけですが、特に滝に注目しながら見比べてみると、力点が違うのがよく分かります。

広重さんのほうが、滝についてはあっさりしてますよね。レイアウトも横位置で、滝にさしかかった中山道の旅情の方を強調しています。って、テーマが「中山道シリーズ」なわけだから、それも当然ですよね。

対して、滝というモチーフについてより関心が強く、表現欲求があったのが北斎さん。滝を主題にするとこうなる!ってかんじ。全体の構図、アイデアも滝ありきだし、滝の水の躍動感も直線ツブツブの組み合わせで表現しよう、って、さすが偉大なる滝ボーイ……いや、滝ジイ!(このとき北斎は70過ぎてます) 

中山道という超メジャースポットにあったおかげで、200年近く前のスターが競演するかのようにその情景を浮世絵に残してくれてるという、なんとも希有な滝なのでした。よっ、幸せ者〜!(?) 当時、街道を往来する人々の疲れを大いに癒してくれていたんだろうな……そんな妄想をしながらの滝時間は、滝ガール的に大満足でした!

さてさて、もう一つ。
上松町の景勝地といえば、こちらにも立ち寄りましたよ。小野の滝から、ほんのちょっと北へ行ったところにありました。

寝覚の床(ねざめのとこ)です!

どーん。

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わわわ、すごい地形…!
こんな場所があるなんてぜんぜん知らなかった〜!

名前の由来にもあるように、浦島太郎が玉手箱を開けた場所と言い伝えられています。現世に戻ってから諸国を旅してまわっていた浦島太郎は、なかでもこの上松の里が気に入って住みつき、毎日ここで釣りを楽しんだという伝説が残っているそうです。

うんうん、のんびりするには最適な場所かもしれませんね〜☆ 岩の上に寝っころがったら気持ち良さそう。訪れたときはもう夕方だったんですが、もっと日差しがあるうちは、この川の緑色もくっきり輝くんだと思います。

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それにしても、このゴロンゴロンの巨大な花崗岩が立ち並ぶ様子は、なんだかちょっと異世界っぽいかんじ。

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岩の上には、「浦島堂」も立てられています。

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浦島太郎の伝説もやっぱりちょっと不思議なムードがありますけど、その雰囲気にもなんとなくマッチする場所でした!

…で、これはあとで知ったのですが、この現在の寝覚の床の姿は、水力発電所ができて木曽川の水位が下がったために出現したものなのだそうです。なるほど、だから普通の川の浸食とは違う地形で、ちょっと違和感を感じたのかもしれません。

となると、小野の滝と寝覚の床、どちらも明治以降の近代建築によって景観が大きく変わった場所ということになりますね。でも、その変化も含めて、味わい深い景勝地でした!

木曽路の滝めぐり、続きます☆

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